2015年7月10日金曜日

中国市場バブル崩壊(2):序章の崩壊、さらなる「大崩壊」がくるのか?

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ロイター 2015年 07月 9日 20:01 JST
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKCN0PJ0QE20150709

コラム:序章の中国バブル崩壊、さらなる円高あるか=山口曜一郎氏

 7月9日、三井住友銀行のヘッド・オブ・リサーチ、山口曜一郎氏は、中国の株式・不動産市場の調整は今後も続き、ギリシャと米国経済に関連する悪いニュースが重なれば、1ドル=120円割れを試す可能性もあると分析。

[東京 9日] -
 ギリシャ危機に揺れるマーケットの不安をあおるように、中国株式市場の混乱が続いている。
 上海総合指数は6月初旬に5000の大台に乗せたが、その後反落。
 8日は5.9%急落し、9日の本稿執筆時点ではやや戻しているものの、地合いは依然として弱い。

 日経平均株価も、ギリシャ危機と中国株下落の不安に押しつぶされる格好で8日に2万円割れし、9日午前も前日比で一時600円を超える下落となった(その後、中国株の下げ止まりを受けてプラス圏に浮上はしたが)。

 こうなると、ギリシャも心配だが、中国も心配だ。
 欧州連合(EU)首脳会議が開かれる12日にギリシャ情勢がヤマ場を迎える前に、
 中国の状況を確認しておきたい。

 振り返ると、ギリシャがEU案を蹴って国民投票の実施を宣言した約2週間前の6月27日、中国人民銀行は追加利下げを決定。
 貸出金利と預金金利を0.25%ずつ引き下げ、それぞれ4.85%、2.00%としたほか、小規模企業向け金融機関の預金準備率を0.5%引き下げている。
 利下げは昨年11月、今年3月、5月に続いてすでに4回目であり、かつ追加利下げのペースは速まっている。
 金融緩和のタイミングとペースを見ていると、
 経済活動や金融・不動産市場に関して
 中国政府のコントロールが効かなくなっている雰囲気を感じる。

 もともと中国政府は経済成長の鈍化を許容する姿勢を示してはいた。
 3月の全国人民代表大会(全人代)で成長率目標を7.5%前後から7.0%前後に引き下げたほか、経済構造については、高速成長から中高速成長へ、成長率重視型モデルから質・効率重視の成長モデルへ、供給能力の拡大重視から適正化重視へ、といったいわゆる「新常態」への転換を目指してきた。
 金融緩和の位置づけも当初は構造改革の側面支援という色が濃かった。

<売りが売りを呼ぶ展開、背景に3つの歪み>

 しかし、実態は中国政府の想定以上に景気が減速しているようだ。
 5月の鉱工業生産は前年比プラス6.1%と、昨年5月の同プラス8.8%から大幅ペースダウン。
 実体経済を把握するのに有効とされている
★.電力生産量と鉄道貨物輸送量については、
 5月は前者が前年比プラス3.3%、後者が同マイナス10.9%と弱い。
 また、相次ぐ金融緩和にもかかわらず、5月のマネーサプライ(M2)の伸びは前年比プラス10.8%と2015年目標の12%前後を下回ったままだ。

 不安は不動産市場と株式市場に広がる。
 先に株式市場について触れると、上海総合指数が5000台に乗せた際、次のような3つの歪みが生じていた。

第1に、上海総合指数の株価収益率(PER)は20倍程度だったが、深セン総合指数のPERは40倍、新興企業で構成されている創業板指数のPERは70倍に達していた。

第2に、中国の株式市場は先進国と比べると規模が小さいため実体経済に与える影響は小さいという見方があったが、
 中国の株式時価総額の対国内総生産(GDP)比率は
 昨年末の「50%未満」から6月のピーク時には「100%超」の水準に上昇し、
 米国(140%)や日本(110%)に匹敵するレベルまで急拡大していた。

そして最後に、信用取引残高が2兆元を上回り、株式時価総額の3%超まで増加していた。
 このような行き過ぎや歪みが生じていたため、売りが売りを呼ぶ展開となっている。

 その後、中国証券監督管理委員会(CSRS)が新規株式公開(IPO)の抑制方針を打ち出したり、中国の大手証券会社が1200億元を拠出して大手優良企業の上場投資信託(ETF)を購入したり、中国人民銀行が国内株式市場に潤沢な流動性を供給するとの声明を発表したりしているが、株価の調整は止まらず、中国政府のコントロールは効いていないようだ。
 この先も調整はすぐには終わらないだろう。
 各種のテコ入れ策が効いて一時的に反発したとしても、
 戻り売り圧力が根強く残る
と見る。

<住宅市場は年後半から一段と減速か>

 次に不動産市場を見ると、2013年にバブル領域に突入したあと、
 中国当局が不動産規制の強化に動いたことから、
 住宅価格は2014年にピークをつけ
その後反落に転じた。
 価格下落を受けて当局は一部規制を緩和し、一線都市と言われる主要都市では価格に下げ止まりの動きが見られるが、全国的には価格下落が続いている。

 全国平均は3カ月連続で前年比マイナス6%という状況だ。
 都市移住者などによる住宅需要は根強く、不動産市場の調整は一時的というのが中国当局および強気派の見方だが、足元で下げ止まりの動きを見せている一線都市についても、再び住宅価格の下落が始まる可能性は排除できない。

 また、価格下落が消費者マインドにマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
 中国政府が望む水準で住宅価格の下落を止めることが可能なのか、消費者への悪影響を政府がコントロールできるのか、という点に疑問が残る状況だ。

こうした状況を踏まえ、さらに次の2点について考えを巡らせてみたい。

★.まず、中国の不動産市場の調整は終わったと考えていいのだろうか。
 予想は難しいが、1つの経験則としては、
 バブルがピークに達するのは懸念の台頭からしばらくしたあと、
★.バブルが弾けるのはさらに一定期間を経てから
という展開が考えられる。

★.例えば、米国の住宅市場に関しては2004年から2005年にかけてオーバーシュート状態に突入したが、その後も住宅価格は上昇を続け、ピークをつけたのは2006年、サブプライム問題で市場が崩れたのは2007年だった。
★.また、スペインにおいては、2006年に住宅市場がバブル状態に陥った兆候が散見されたが、市場がピークをつけたのは2007年から2008年であり、その後、リーマンショック、ユーロ危機の中で住宅市場は大きく崩れた。

★.中国の住宅市場に対する懸念が台頭したのは2013年で、住宅価格の直近ピークは2014年。
 中国当局によるコントロールは可能という見方が、下落局面でも市場に安心感を与えている側面があったと考えるが、その見方に疑問が生じている今、下方リスクはじわじわと高まっていそうだ。
 米国、スペインのケースを手掛かりにすると、
★.中国の住宅市場が一段と減速してくるのは2015年後半から2016年にかけてとなる。

 また、足元の中国株の動きがドル円相場に与える影響はどうだろう。
 海外投資家による中国株投資への制約が存在することを考えると、中国株下落がグローバルな金融市場に与える直接的な影響は限定されそうだ。
 実体経済を経由した影響については、株価下落が中国の国内消費に悪影響を及ぼし、それが国内経済の減速につながり、外需減退から世界各国の中国向け輸出が打撃を受けるというルートが考えられるが、すぐに顕在化するものではない。
 よって、ファーストリアクションとしては主にセンチメント経由となるだろう。

 ちょうど今月初め、ギリシャの国民投票前に、どういう展開になったらドル円は120円を割れて115円レベルまで下げるだろうかと、尋ねられたことがあった。
 その時、筆者は
 「ギリシャのユーロ離脱、
 中国での株価下落継続と景気失速、
 米国の景気減速と利上げ中止が
 全部やって来たら」
と答えた。
 今でもこれら3つが発生するリスクは非常に小さいと見ているが、1週間前と比べて相対的な実現可能性は高まっており、その分、短期的にせよドル円が下落するリスクは高まっている。

 突発的に、ギリシャ、中国、米国に関係する悪いニュースが重なった場合、ドル円が120円割れを試しに行く展開には注意が必要だ。

*山口曜一郎氏は、三井住友銀行市場営業統括部副部長兼調査グループ長で、ヘッド・オブ・リサーチ。1992年慶應義塾大学経済学部卒業後、同行入行。法人営業、資本市場業務、為替セールスディーラーを経て、エコノミストとして2001―04年に ニューヨーク、04―13年ロンドンに駐在。ロンドン大学修士課程(金融学)修了。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。



2015.7.10(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44268

市場に強敵を見つけた中国共産党
株式バブルを膨らませた罪は政府にあり、急落食い止めに必死
(2015年7月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 強力な勢力に抵抗することにかけては、中国共産党はかなり立派な成績を残してきた。
 創立からの90年間に、内戦、集団化の惨事(確かに、これは自らまいた種だったが)、学生主導の蜂起、そして比較的最近では2008年の世界金融危機を乗り越えてきた。
 この危機でも中国の猛烈な成長はほとんど鈍らなかった。
 だが、この数週間、政府が全く制御できなかった勢力が1つある。
 市場だ。

 努力が足りないからではない。

 中国当局は、株式は上昇することしかできないと定めた法律を可決することを除いて、あらゆる手を尽くした。

 対策が打ち出されるたびに、当局の措置は窮余の策のような趣が強まっていった。

■当局が矢継ぎ早に打ち出した対策

 当局は実証済みの策略から始めた。
 現金を持つことの魅力が減退するように金利を引き下げ、銀行がじゃぶじゃぶと回すお金が増えるように預金準備率を引き下げた。
 口先介入で相場を上昇させようとし、すでに膨れ上がった倍率で取引されていた株式の上昇余地について従順なメディアに記事を掲載させた。

 さらに、年金基金を株式市場につぎ込み、信用取引の制限を緩和し、手数料を削減し、空売り筋を標的にした。

 もっと最近では、市場を希薄化させないために新規株式公開を延期し、ファンドに株を買う――だが、絶対に売らない――よう促した。
 あるエコノミストが「中国の特色ある量的緩和」と呼んだ動きで、中央銀行は、証券会社に信用取引の資金を融通する政府機関に流動性を供給する。

 危険な株式バブルを膨らませたレバレッジ(借り入れ)を抑制するどころか、
 当局は短期的な救済のためにレバレッジを煽っているのだ。

 対策はうまくいっていない。
 1年半で価値が2倍以上になった後に市場が6月半ばにピークをつけて以来、市場価値が3割失われた。
 これで中国株の価値から3兆2000億ドルが吹き飛んだ。
 フランスとスペインの株式市場を合計した時価総額を優に上回る金額である。

 欧州がユーロからギリシャを失うことを心配している間に、中国株式市場の大陸規模の大きな塊が粉々に砕け散ったのだ。

■共産党の正統性が揺らぐ恐れ

 中国が市場の暴落を食い止められないことは、少なくとも3つの互いに関連する疑問を投げかける。

1].まず、当局が信頼を失う恐れがあるのだろうか。
 共産党の正統性の大部分は、その技術的な能力に対する、概ね受けるに値する評判に基づいている。
 ここ数週間の行動は、よくても受動的、最悪の場合は不器用に見える。

 当局者自身が、そもそもバブルが膨らむのを許した責任の多くを負わなければならない。
 中国の指導者たちは2008年、根拠なき熱狂を助長した西側の規制当局と中央銀行の共謀行為と彼らが正しく判断したものを見て、ほくそ笑んだ。

 今、自国の当局者たちが同じ罪に問われている。
 中国の当局者は意図的に市場を上昇させることで、弾ける運命にあるバブルを膨らませることに手を貸したのだ。
 システミックリスクは大きくなさそうだが・・・

2].2つ目は、システミックリスクの問題だ。
 このリスクは、純粋な市場経済の場合よりは小さい。
 中国の株式時価総額――最近の下落の後の時価総額――は、国内総生産(GDP)の「66%」だ。
 これに相当する米国の数字は「140%」だ。

 それでも、信用取引のために資金を貸し付けた銀行と証券会社は、もし借り手が返済できなければ、苦境に陥るかもしれない。
 2007~08年には上海総合指数が6000超から2000割れまで下落した。
 これは励みになるかもしれない。
 経済は株安などお構いなしに前進を続けたからだ
 だが、これは現在の下げがまだ続き得ることを示唆している。
 今回は違うかもしれない――悪い意味で、だ。

 前回の弱気相場の際は、経済が2ケタのペースで成長していた。
 今では、公式発表で7%に減速した。

 損失を被った多くの人は、使えるお金が減った。
 これは、中国が資本支出への依存から脱却しようとする中で成長の主因とされる消費の減退を意味するかもしれない。

■本当の改革が先送りに

3].3つ目は、改革の問題だ。
 ここには相反する2つの側面がある。
★.一方では、中国の市場は統制経済の中で動いている。
★.もう一方では――例えば上場企業の緩い会計基準において――、むしろ開拓時代の米国西部のような無法地帯に見えることもある。

 当局がどの程度の統制力を行使する用意があるかを示す兆候として、株式市場の報道では微妙なフレーズ――「株の惨事」「市場を救済する」といった言葉――を使うことが禁じられた。

 遅かれ早かれ市場は大底をつけるだろう。
 だが、その頃には何かが失われている。
 市場がより大きな役割を担うのを認めるといった話にもかかわらず、状況が困難になると、介入しようとするのが政府の本能だ。
 それは無理からぬことだ。

 しかし、中国はうまく機能している資本市場を持っている状況とはほど遠い。
 そして本当の改革は、また別の機会を待たねばならないのだ。

By David Pilling
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レコードチャイナ 配信日時:2015年7月10日(金) 8時39分
http://www.recordchina.co.jp/a113653.html

世界で繰り広げられる2大ショー:
ギリシャ危機VS中国株式市場暴落の行方は―英メディア

 2015年7月8日、BBC中国語版は、
 「世界を舞台にした2大ショー:ギリシャ債務VS中国株式市場」
と題した記事を掲載した。
 以下はその内容。

 世界を舞台にした2つの大きなショーが演じられている。
 一つ目の主役はギリシャの債務危機、
 もう一つの主役は中国の株式市場と約9000万人の投資家たちだ。
 ちょうど世界の目がギリシャに向いているころに、突然中国の株式市場で起こった出来事に人々は驚いている。

 中国株式市場からは、ここ3週間ですでに3兆ドルに上る金額が消し飛んでいる。
 一方のギリシャの債務は3230億ユーロ、そこにはIMF(世界通貨基金)の16億ユーロも含まれている。

 BBCのベテランデスクは、両者の違いについて、
★.ギリシャがデフォルトすれば、その損失を負うのは欧州諸国の一部と国際金融機関だが、
★.中国株の損失は9000万人の投資家が負うことになる
と語る。
 この9000万という数字は、中国共産党の党員の数よりも多い。
 だからこそ中国政府は救済へと動くのである。

 専門家たちは、中国株の大きな起伏は正常な現象だが、他と違うのは投資家のほとんどが個人投資家だということだと指摘する。
 株式市場の成熟には、上場企業の質の改善とともに、現在の個人投資家主導ではなく機関投資家の集団が必要だ。
 そして、市場を外国に開放し、海外の金融企業に大きな役割を担わせ、外国企業の上場も認める必要がある。
 必要な改革が行われなければ、中国株は今後も価値のある投資にはなり得ない。

 もしも、中国あるいはギリシャが引き起こす金融危機が世界経済の信用を揺るがすことになれば、FRB(連邦準備制度)や英国中央銀行もゼロ金利から抜け出せなくなり、世界経済の前途も楽観を許さないものになるだろう。






●専門家「中国経済減速はすでに制御不能」 20150607
2015/06/07 に公開
【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV】http://jp.ntdtv.com/【新唐人2015年06月06日】中国の李克強首相は今年度のGDP成長率目標を7%­に設定しました。元北京大学経済学教授、夏業良さんは、中共当局がGDP成長率の目標­を引き下げたのは、経済衰退がすでに制御できなくなったためだと指摘しています。


●中国 10億平米がゴーストタウンに20150505
2015/05/05 に公開
【新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV】http://jp.ntdtv.com/【新唐人2015年05月04日】国際通貨基金=IMFは最近、中国の住宅の空室率が­10億平米に達したと発表しました。空室率は不動産市場の健全さを測る重要な指標です­が、この分野の当局のデータは空白となっています。